2006/12/20

下流喰い―消費者金融の実態



僕が高校生の時分だっただろうか、消費者金融のCMに新人のアイドルがよく出演するようになった。僕の父はそれを見ながら、「消費者金融のCMに出たら彼女らのイメージが悪くなって売れなくなるんじゃないか」と言った。僕も同感だった。

しかしながら、多くの人が知っているように彼女らはその後大ブレイクし、我々の予想は外れた。そして、それと同時に消費者金融は巨大化を続けた。それは消 費者金融がCMによるイメージ戦略に成功したということであり、また消費者金融によって生活が立ち行かなくなった人を多く生み出したことも意味している。

なぜ彼等は消費者金融を利用してしまうのか。なぜ返せなくなるまで借り続けてしまうのか。その理由は消費者金融の巧妙なビジネスモデルにあった。現在グ レーゾーン金利が問題になっているが、本書ではグレーゾーン金利が存在する理由、そしてグレーゾーンによっていつまで返済しても元金が減らないビジネスモ デルのシステムを説明している。著者はこのビジネスモデルを、「悪魔的ビジネスモデル」と名付け、利用者、潜在的利用者に警告している。

現代の消費者金融の実体、そしてそれに苦しむ人達の実体を自ら取材して詳細に描いた一冊。

また、著者は金融ジャーナリストで金融ウォッチャーとしての実力には定評があるとのことだが、本書からもその実力を伺い知ることができる。不謹慎な気もするが、とても面白かった。